OTECでは標準仕様として、寒冷地仕様の6畳用エアコンを採用しています。
お客様からは必ず、「6畳用のエアコンで大丈夫ですか?LDKは18畳あるので、18畳用のエアコンに変更したいのですが。」という質問をいただきます。
今回は同じような疑問をお持ちの方にお役に立てるように、その答えを公開します。
メーカ―のカタログに記載されている6畳用、8畳用、10畳用、14畳用、18畳用、20畳用などの「〇畳用」とは、どんな断熱性能の建物を想定しているのでしょうか?

実は○畳用は60年前の基準
実は、1965年の規格(JISC9612 HASS109-1965)で決められた「無断熱の木造住宅 平屋建て」にエアコンを設置した場合に必要な畳数になります。
築40年の無断熱住宅と、現在の高気密高断熱住宅では、必要な暖房能力は違うはずです。
では、どのように選定すれば良いのでしょうか?
それは、計算してみると分かります。
Q値計算(少し難しい話になります)
例えば、
床面積100平米(30坪)平屋建て、
OTECの断熱性能UA値0.34の場合。
Q値(熱損失係数)を計算すると、
■Q値=(UA値×外皮面積+0.35×気積×換気回数)÷延床面積
Q値=(0.34×300m2+0.35×270m3×0.5回)÷100m2なので、
Q値≒1.50
Q値1.50と分かりましたので、次は、エアコンの暖房能力の算定をします。

結論:安全率を見ても6畳用エアコン2台でOK
■必要な暖房能力=床面積×Q値×(22℃-冬の外気最低気温)
1年で一番寒い時を想定して―10℃とすると、
必要な暖房能力=100m2×1.50×(22+10)≒4800W=4.8kW
一年で一番寒い日の家中を22℃に保つには4.8kWの暖房能力が必要と分かりました。
ココで、6畳用 寒冷地仕様エアコンのカタログをみると、
暖房低温能力(外気温-15℃時)4.0kWと記載があります。
※-15℃時にこのような能力が出せるのは「寒冷地仕様」のみです。
という事は、6畳用 1台では少し心配だけど、2台設置すれば(4.0kW+4.0kW=8.0kWあれば)、十分暖房できる事が分かります。
但し、注意が必要なのは、間取りによって暖房した空気が適切に家全体に行き渡るかどうか。
こちらは熱交換機空調システムをどのように計画するかにも関わってきますので、
また別の機会にお話ししたいと思います。
この答えは大きなエアコンを入れてもらう事で少しでも利益を出したいという、業界の闇を示唆しています。
逆に考えると、きちんと断熱計算をすれば、まんまと踊らされるのを防ぐことができるという事です。
皆さんもエアコンの大きさを決める時に、部屋の大きさとエアコンの畳数だけで決めようとする営業マンにはご注意を!
飯田下伊那地域の工務店すむところ研究室 一級建築士太田