断熱性能はUA値が全てではない。換気扇も重要!

最近テレビCMでも「断熱」という言葉を目にする機会が増えました。
断熱性能というのは家の中と外の気温差があるときに、壁・天井・窓などからの熱の逃げにくさの事です。
最近ではUA値という数値で表します。
僕達の感覚ではざっくりこんな感じ。

UA値0.6「寒い家」
UA値0.5「普通のよくある仕様」
UA値0.35「そこそこ高断熱の家」
UA値0.25は「日本屈指の高断熱」

では、UA値はどれくらいを目指せばいいのでしょうか?
下のグラフはUA値が0.25~0.5それぞれで、どれくらい熱が逃げ、光熱費がどれくらい変わるかを表したグラフです。

「青が熱が逃げる量」「オレンジが35年光熱費合計」

35年光熱費は、0.5と0.25で、約84万円差。この額を大きいと見るか小さいと見るか、人によって別れると思います。
ここで考えるべきは、UA値を良くする為に○○円かかる、そのお値段です。

0.25まで落とすにはペアガラスのサッシをトリプルガラスに、外壁に付加断熱、天井もグレードアップの必要があります。そのための費用は100万円~200万円以上必要です。
僕達の経験上、そこまで費用をアップすることなく、ランニングコストをある程度落としながら、快適に生活できるのが0.3~0.35辺りだと思います。

次に、「青の折れ線グラフ、熱が逃げる量」にも注目してみましょう。
UA値0.25時の115.7に対してUA値0.5時は229.6と倍増しています。
簡単に言うと倍熱が逃げるため、倍のエネルギーで温める必要があります。
それ以上に重要なのは、0.5になるとどんどん熱が逃げていく為、家の中で暖かい空気と冷たい空気が分かれてしまい、結果、足元が冷たく、頭が暑い、不快な環境になる可能性が高くなってしまう事です。

暖かい家を作る為にはUA値以外にも方法がある

家の温度環境を快適にするためには、断熱性能を高める他にいくつかの方法があります。
・熱交換気扇を採用する
・太陽熱を上手に家の中に入れる
・足元から温める
・天井付近と床付近の空気を循環させる

それぞれボリュームのある内容なので別記事で紹介します。

熱交換換気扇を採用する

家の熱が逃げる場所は、天井・壁・サッシ・床の他に「換気による空気の入れ替え」があります。
あまり知られていませんが、換気による熱損失はかなり大きいものになります。
換気の仕組みは大きく分けて2つあります。
①熱交換換気
室内の空気を外に排出するときにその熱を外から入ってくる空気に乗せ換えて新鮮で冷たくない空気を室内に入れます。
具体的には、室内の気温が20℃、外気温が0℃の時に、室内に入ってくる空気を16℃まで上げて給気します。
②非熱交換換気
よくある換気扇です。室内の空気をそのまま外に排出し、外の空気をそのまま取り込みます。外気温が0℃なら0℃の空気が室内に入ってきて足元にたまってしまいます。

上の表では「青:通常の換気扇」「オレンジ:熱交換気扇」の場合で、UA値毎に熱の損失量を表しています。
例えばUA値を頑張って0.25まで落としても、普通の換気扇を使ってしまうと、0.35熱交換気扇と同レベルの熱損失量になってしまう事がわかります。

冬場の日射取得を高める

太陽の熱エネルギーは窓の大きさによっては暖房器具を付けているのと同程度になる事があります。
断熱性能がある程度高く、日射熱取得を考慮した家では、冬の昼間は暖房を付けなくても過ごせるようにもできます。
ただ、気を付けないといけないのは、庇を一定以上大きくし、できるだけ真南にサッシを設けないと、冬以外の時期にも日射を取り込んでしまう事です。
どの時期に、どの程度日射が入るか、シミュレーションをしながら設計することが重要です。

※シミュレーションは福井コンピューター社 アーキトレンドを使用して作成しました。
※間取り、立地条件、生活様式によって結果は異なります。

飯田下伊那地域の工務店すむところ研究室 一級建築士太田

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